慢性 骨髄 性 白血病 予後。 慢性骨髄性白血病について

急性リンパ性白血病(ALL) 完治を目指す治療と再発・難治の新薬治療

慢性 骨髄 性 白血病 予後

一般的には、「不治の病」というレッテルを貼られることも少なくない白血病。 そうした負のイメージと相まって、病気を診断されることで、死を強く意識される方も少なくありません。 しかし、 白血病の種類は多様であり、治療経過や生存率も大きく異なることが知られています。 確かに厳しい予後を想定せざるを得ない白血病がある反面、90%近い治癒率が期待できるタイプの白血病もあります。 そのため、「白血病」という一言に一括りにするのではなく、どういったタイプの「白血病」であるのかを知ることが、経過を予測するためにはとても大切であると言えます。 この記事では、 白血病における予後となりうる因子を紹介し、それらに関連した 生存率を記載します。 さらに、病気が進行した際に 予測される症状並びにケアの方法についても触れます。 本記事を参考にご自身の病状を正確に把握し、病気に立ち向かうための参考にして下さい。 白血病の種類と進行度について ここでは、白血病の進行度や治療成績に関係するような代表的な因子について記述します。 しかし、専門的にはさらに複雑な要因を考慮することが求められます。 そのため、ご自身の状況を正確に把握するためには、担当の先生に相談することをお勧めします。 急性白血病と慢性白血病の違い 第一部に記載したように、白血病には大きく分けて 急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病に分けることができます。 すなわち、病気の難治度や予測される進行様式を予測する上で、 どのタイプの白血病であるかを知ることは、第一のステップとして必要不可欠です。 一般的には、急性白血病の進行は早く、急速な経過から命を落とすこともあります。 その一方、慢性白血病では、病気を抱えながらも日常生活を送ることが可能なこともあります。 しかし、それでも年余の経過から急激に病状が悪化することもあるため、注意深い経過観察が必要とされます。 発症時の年齢 白血病の進行度を考慮する上で、発症の年齢を加味することは大切です。 急性リンパ性白血病を例にとると、1〜10歳のお子さんに見られる急性リンパ性白血病は、それ以外の年齢の方で見られる場合に比べて、治りやすいことが知られています。 これには、小さいお子さんの方がより強い治療に耐えることが出来ること、白血病細胞が治りやすい性質を有する傾向があること、などが関与していると考えられています。 近年では、 思春期や若年成人に見られる急性リンパ性白血病では、幼少期のお子さんに行う治療を行うことで、治療成績の向上を期待出来ることも期待されています。 小児期に見られる白血病は比較的治りやすい傾向がありますが、1歳未満の乳児白血病は、治療成績が芳しくないことも知られています。 そのため、病気の経過を予測する上で、「 発症時の年齢」を加味することは、とても重要な視点であると言えます。 なお、年齢的な要因以外にも、日常生活動作が自立している患者さんの方が、そうでない方に比べて治療経過が良好であることも知られています。 白血病細胞の持つ特性について 白血病の進行度を考える上で、 白血病細胞の持つ特性について理解することも重要です。 例えば、急性リンパ性白血病は、リンパ球と呼ばれるタイプの細胞を基盤として発症します。 リンパ球には更に、Bリンパ球やTリンパ球などに分類され、どのようなリンパ球が白血病細胞に変化したかによって、病気の進行様式が異なることも知られています。 一般的には、Bリンパ球に比べてTリンパ球が白血病になった場合の方が、治療成績が劣ることが知られています。 また、白血病細胞は、遺伝子レベルにおける複雑な変化を持つことも知られています。 白血病細胞がどのような遺伝子変化を有するかも、病気の治りやすさ・治りにくさを予測する上で欠かすことが出来ない情報です。 急性リンパ性白血病であれば、染色体の数が異常に少ない、MLLと呼ばれる遺伝子に特徴的な変化を見る、などは予後不良因子として例に挙げることが出来ます。 その他、急性骨髄性白血病であれば、FLT3-ITDと呼ばれる特徴的な遺伝的な変化を示す白血病は、治療経過に難渋する傾向があります。 慢性のタイプの白血病においても、どのような遺伝的な変化があるかを理解することは重要です。 また、急性骨髄性白血病では、PML-RARAと呼ばれる遺伝子変異を示すこともあります。 この場合には、重篤な出血傾向を示すことがあり、頭蓋内出血や消化管出血など、命の危険性に晒されるような急激な病状変化を見ることもあります。 このタイプの白血病は、格闘家として知られるアンディフグ選手が命を落とすきっかけであったことも知られています。 白血病の生存率 白血病の生存率は、先の項目で記載したように、年齢的な要素、白血病細胞の持つ特性などによって大きく異なります。 そのため、患者さんの長期的な予後を正確に判定するためには、数多くの要素を加味する必要がある点には留意が必要です。 急性リンパ性白血病 同じ「 急性リンパ性白血病」であっても、小児期に見られるそれと比べて成人期に見られる病気の場合、生存率が芳しくないことも知られています。 具体的には、お子さんに見られるタイプの急性リンパ性白血病では多くの場合80%以上の生存率が期待できる反面、 成人の場合には10%を下回ることもあります。 急性骨髄性白血病 急性骨髄性白血病の場合も、急性リンパ性白血病に類似して「年齢」に応じて生存率が大きく異なります。 すなわち、小児に見られる急性骨髄性白血病の生存率は70%ほどですが、成人のそれは50%未満であることが知られています。 特に80歳代の方に見られる急性骨髄性白血病では、1年も経たずして9割前後の方が亡くなります。 慢性リンパ性白血病 慢性リンパ性白血病は、病状が安定している場合には必ずしも積極的な治療を要するわけではありませんが、病気が進行した際には生命に危機が生じる可能性があります。 すなわち、病状が安定している時期がどれだけ長いかが生存率に大きく影響しますが、 診断されてから50〜80%ほどの5年生存率が期待できることもあります。 慢性骨髄性白血病 慢性骨髄性白血病は、Ph染色体と呼ばれる特殊な遺伝子を元にして発症する疾患です。 慢性骨髄性白血病では、この遺伝子異常に直接的に働きかける薬剤である「 イマチニブ」と呼ばれる薬剤が存在します。 この薬剤を使用することで長期的に病状を安定化させることが期待でき、80〜90%ほどの生存率が達成されています。 難治性白血病の平均余命とは 白血病の分類は非常に複雑であり、それを反映して期待される治療成績も大きく異なります。 ここでは、特に治療に難渋することが予測される白血病をいくつか例に挙げ、それらの平均余命を記載します。 乳児白血病 一般的に、 小児期に見られる白血病の長期生存率は90%近いことが知られていますが、1歳未満に見られる白血病は例外的です。 化学療法や骨髄移植といった集学的な治療を行う場合であっても、50%ほどであることが報告されています。 FLT3-ITD変異を持つ急性骨髄性白血病 急性骨髄性白血病の中でもFLT-3-ITDと呼ばれる遺伝子異常を有するタイプのものは、それを有さないものに比べて生存率が大きく下回ることが知られています。 具体的には、20%前後の5年生存率であることが報告されています。 そのため、現在ではこうした遺伝子異常に関連した急性骨髄性白血病に対しては、 ギルテリチニブと呼ばれる薬剤の使用をすることで生存率が延長することが期待されています。 罹患数と死亡数の推移 小児において白血病は悪性腫瘍の中でも最も多い疾患であり、2014年には年間600人ほどのお子さんが白血病の診断が下されています。 小児白血病の治療成績の向上は著しいのですが、残念ながら同年度には100名弱のお子さんが白血病のために亡くなっていることが報告されています。 罹患率に関しては、大きな変動はありません。 一方、 成人においては、年齢を経るにつれて罹患率が上がることが知られています。 特に45歳以上において病気の罹患率が上昇する傾向にあり、人口10万人あたり5人を超えるようになります。 さらに60歳以上になるとその数字は倍になり、以後年齢を重ねるにつれてさらに罹患率は高くなります。 経年的な変化を見た際、40歳以上の方において病気の罹患率は上昇傾向にあります。 すなわち、 1980年頃には人口8人ほどの罹患率でしたが、近年では14人ほどになっています。 成人の白血病における死亡数は、お子さんのそれに比べて高いことも知られています。 特に40歳を超えた辺りから死亡率は、お子さんのそれに比べて倍になります。 さらに、60歳以上の方では10倍ほどの死亡率になることも報告されています。 2017年には、8000人以上の成人が白血病のために命を落としています。 こうしたことから、さらなる治療成績の向上が強く望まれています。 白血病の末期症状とケアに関して 白血病が進行すると、全身に様々な症状が見られるようになります。 ここでは、代表的な症状、病態について記載します。 感染症 白血病では、健康な方であれば問題にならないような 病原体に対しての免疫力の低下を見るようになります。 感染症のために、発熱が持続する、血圧が低下する、息苦しさが生じる、意識状態が悪化する、皮膚にカビが生える、などの状態が見られることがあります。 こうした感染症に対して対応するために、抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬、免疫グロブリンなどの使用が検討されます。 また、座薬を使用すると肛門周囲に傷が入り、そこから病原体が体内に侵入することも懸念されます。 そのため、解熱剤の使用に際して座薬の使用を避けることもあります。 出血傾向 白血病では、 口の粘膜や採血の場所から出血をすることがあります。 出血傾向を抑制するために、輸血が行われることもあります。 出血の状況によっては、止血術が行われることもあります。 白血病の中でも、急性前骨髄性白血病と呼ばれるタイプでは、発症時から著しい出血傾向を見ることがあります。 この白血病に対しては、オールトランス型レチノイン酸と呼ばれる薬剤を使用することで、早期に対応することが求められます。 痛みや息苦しさ 白血病の末期には、強い痛みや息苦しさを伴うことがあります。 こうした症状を緩和させるために、痛み止めや麻薬などを使用することもあります。 食事の摂取がままならなくなることもあるため、点滴による栄養補給が検討されることもあります。 白血病の進行によって、生活の質が著しく低下することも懸念されます。 根治的な治療を視野に入れつつも、病状によっては緩和ケアも考慮することが重要です。

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慢性骨髄性白血病

慢性 骨髄 性 白血病 予後

急性白血病の再発について 具体的な話の前に、総論的な説明をします。 急性白血病では完全 後も ( )が存在していて、それが再び増殖してくることを再発と呼びます。 寛解 中や、終了後にも再発が起こる場合があります。 急性白血病の場合だと完全寛解後3~5年以内に起こることが多いです。 ここからはそれぞれの疾患 に説明していきます。 急性骨髄性白血病が再発・転移した場合 急性骨髄性白血病が再発するケースは初回寛解導入療法によって一度寛解したのち、 良好と判断されたため、もしくは予後中間・不良と判断されたが同種造血幹細胞移植のドナーがいないために を行っていた場合に再発することがあります。 再発してしまったらまず再寛解導入療法を行います。 この他、同種造血幹細胞移植も可能かどうか検討します。 この時期の急性骨髄性白血病では患者さん個人にあった治療を検討していく必要があります。 また、急性骨髄性白血病のなかでも急性前骨髄球性白血病が再発した場合では、それまで用いていたオールトランス型レチノイン酸(ATRA)がそのまま用いることができたり、抗CD33 療法を行うことができたりする場合があります。 治療効果が認められない場合は緩和医療に切り替えるなど、患者さんに寄り添った医療を提供する必要があります。 次に についてですが、白血病には転移という概念と言うより という概念で理解したほうがよろしいかと思います。 骨髄で白血病細胞がこれ以上増えるスペースがない!となった場合、本来血液細胞は骨髄や末梢血中にしかないわけですが、白血病細胞がリンパ節に腫瘍として出てきたり、中枢神経に浸潤して精神症状を呈したりします。 普通のがんでいうところの転移は他の臓器に飛んでそこでまた癌細胞として増殖していきますが、白血病では骨髄で増えたものが飽和して血液を介して全身に飛んで行って を形成するイメージです。 急性リンパ性白血病が再発・転移した場合 成人の急性リンパ性白血病の再発例は一般に予後不良とされますが、再寛解導入療法を行った後に同種造血幹細胞移植が可能な場合は予後改善が期待できます。 また、再発は治療のどの段階においても発生しますが、発生した時期や によって再寛解導入療法の内容を検討する必要があります。 例えば、AdVP療法( 、 、プレドニゾロン のことです)やHyper CVAD療法(シクロホスファミド+ビンクリスチン+ +デキサメタゾンの併用療法)、ステロイド薬併用療法などが再発した急性リンパ性白血病に対する再寛解導入療法として治療成績が報告されていますので、これらを中心に検討します。 イマチニブに対して抵抗性を獲得しながら再発することもあるので、一般に 陽性の急性リンパ性白血病におけるイマチニブ継続中の再発例ではイマチニブをダサチニブに変更することが妥当であるとされます。 ダサチニブはイマチニブよりも新しい薬で、イマチニブの325倍、フィラデルフィア染色体への効果があるとされています。 また、転移についてですが、急性リンパ性白血病における転移は急性骨髄性白血病と同様に、臓器浸潤という形で考えられます。 病態は同じなので急性骨髄性白血病の項をご覧ください。 慢性骨髄性白血病が再発・転移した場合 においては、一度は治療によって、一度は寛解または治癒と判断されたのち、また白血病細胞が出現することを再発、再燃と呼びます。 慢性骨髄性白血病では当初、有効であった が治療効果を示さなくなったり、治療していたのにもかかわらず から や急性転化期に移行してしまったりした場合に増悪とみなし、治療方針の再検討が行われます。 再発した慢性骨髄性白血病に対する治療としては、チロシンキナーゼ阻害剤を用いた分子標的療法、ドナー幹細胞移植、ドナー白血球輸注療法、生物学的療法( 、新しいタイプか大量投与の標的療法とドナー幹細胞移植の などです。 これらの治療も効果が得られない場合は、患者さんの (Quality of life)を維持しながら病気と付き合っていくことを持奥表にした治療が行われます。 慢性リンパ性白血病が再発・転移した場合 慢性リンパ性白血病においては、一度は寛解あるいは治癒と判断されたのちに再び癌細胞が出現し、症状が現れるようになり、積極的な治療を行う必要が出てきたときに再発とみなします。 治療を開始していた慢性リンパ性白血病において、再発してしまったり を示したりした場合には、一般には救援療法を行います。 救援療法とは今までに使用していない を組み合わせて治療を行うことで、慢性リンパ性白血病の場合「CHOP療法」や「Hyper- CVAD療法」、これらに という分子標的薬を追加した治療法などが良く用いられていますが、個人間でどの種類の薬を組み合わせるのかは異なってきます。 CHOP療法というのはB細胞由来の腫瘍(慢性リンパ性白血病は異常なB細胞が異常に増殖してしまう疾患です)に用いられる治療法で、3種類の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)に副腎皮質ホルモンであるプレドニゾロンを組み合わせた治療法です。 原則3週間ごとにCHOP療法は行われます。 これを3週間1 として、何サイクル行うかは病気のタイプや進行度によって左右されます。 予測される副作用には食欲不振や嘔吐、便秘、手足のしびれや発熱、脱毛など自覚症状があるものと、 や肝機能低下、腎機能低下など自覚症状に乏しいものがあります。 Hyper-CVAD療法ではシクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、デキサメタゾンの併用療法です。 脱毛や 、 ・嘔吐・食欲不振、便秘などの自覚症状のあるものと、骨髄抑制や貧血、血小板減少など血液検査を行うことで分かる副作用があります。 これらは慢性リンパ性白血病の治療が終わったのちの定期的なフォローアップによって再発が認められた場合に行います。 出典 病気がみえる Vol. 5 血液 第二版 白血病の基本情報.

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白血病の予後と5年生存率~医学的な病状の見通し~

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早ければ週単位で病状が進んでいく急性リンパ性白血病は、初診と同時に入院が必要となることも少なくない、治療の緊急度が高い疾患です。 治療の第一目標は、強力な化学療法によって「完全寛解」を得ることです。 その後は、地固め療法、維持療法と数年をかけて治癒を目指します。 最近は、再発・難治例のための新規薬剤も次々に登場し、治療効果への期待が高まっています。 血液中にある赤血球、血小板、白血球の血液細胞をつくる細胞が骨髄でがん化し、がん化した細胞が骨髄内で増殖して占拠するため、正常な血液細胞が減少し、感染症にかかりやすくなったり、貧血になったり、出血しやすくなったりなどさまざまな症状が起こります。 骨髄の中にある造血幹細胞は、赤血球、白血球、血小板などのすべての血液細胞のもとになる細胞として自己複製しながら、一方でさまざまな血液細胞へ分化していきます(図1参照)。 造血幹細胞は、骨髄系の細胞とリンパ系の細胞に分化します。 さらに骨髄系は、赤血球、血小板と、白血球のうちの顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)と単球へ分化します。 リンパ系細胞は、白血球のうちT細胞(Tリンパ球)、B細胞(Bリンパ球)、NK細胞というリンパ球へと、成熟・分化して、血液の中に出ていきます。 白血病は、骨髄性やリンパ性、あるいは急性と慢性といった分類があります(表1参照)。 血液の元となる細胞のうち、骨髄系細胞ががん化したものを骨髄性白血病、リンパ系細胞ががん化したものをリンパ性白血病といいます。 さらに、それぞれ急性と慢性の白血病があります。 急性の白血病では、骨髄の中で急速にがん細胞が増加して貧血や血小板減少、あるいは白血球の増加や減少をもたらし、発熱や貧血、出血傾向などの急性の症状が出現します。 慢性の白血病では、そのような急性症状を呈しません。 急性リンパ性白血病(ALL:acute lymphoblastic leukemia、急性リンパ〔芽球〕性白血病)は、リンパ球が未成熟な段階のリンパ芽球の状態でがん化し急速に増え続ける病気で、急性の症状が現れます。 ALLと同じく、リンパ芽球ががん化する白血病に、リンパ芽球性リンパ腫(LBL:lymphoblastic leukemia)があります。 両者は、同じ病気で同じ治療を行います。 違いは、がん化したリンパ芽球細胞が主に増殖する場所が骨髄の内か外かという点です。 リンパ芽球は、骨髄の造血幹細胞から作られると、血液に乗って流れていき、全身のリンパ節で成長します。 ALLでは、がん化したリンパ芽球が主に骨髄のなかで増殖します。 LBLは、がん化したリンパ芽球が骨髄の外で増殖するものです。 増殖する場所の多くは、脾臓や肝臓、頸部のリンパ節などです。 ALLの年間発症数は、10万人に2~3人程度と考えられています。 ALLは小児に多く、小児急性白血病の約8割がALLです。 一方、成人ではすべての白血病のうち、約2割がALLとされています。 図1 造血幹細胞と血液の分化 表1 白血病の主な分類 骨髄性 リンパ性 急性 急性骨髄性白血病 (AML: acute myeloid leukemia) 急性リンパ性白血病 (ALL: acute lymphoblastic leukemia) 慢性 慢性骨髄性白血病 (CML: chronic myelogenous leukemia) 慢性リンパ性白血病 (CLL: chronic lymphocytic leukemia) 急性リンパ性白血病の症状 急性リンパ性白血病の主な症状は、腫瘍化したリンパ芽球が骨髄のなかで増殖し、正常な血液を作る機能が妨げられることで現れるものと、腫瘍化した細胞が血流に乗り、さまざまな臓器やリンパ節に住みついて現れるものに分かれます(表2参照)。 正常な血液が作られないと次のような症状が現れます。 白血球が不足すると、身体の抵抗性が低下し、ウイルスや細菌による感染を起こしやすくなります。 赤血球が減少すると、だるい、眠い、疲れやすい、動悸、息切れといった貧血の症状が出ることがあります。 また血液を凝固させる機能をもつ血小板が減少すると、出血しやすくなり、鼻血が出る、アザができやすくなるといった症状が現れます。 血流に乗ったリンパ芽球が臓器に侵入して増殖すると、リンパ節が腫れてしこりができたり、肝臓や脾臓が腫れてお腹が張ったりします。 リンパ節や脾臓の腫れは成人のALLの約半数でみられます。 中枢神経系に浸潤することも多く、物が二重に見えたり、頭痛や顔面の痺れなどが起こることもあります。 このようにさまざまな症状が現れますが、急性リンパ性白血病に特有の症状はなく、症状から特定するのは難しい病気です。 症状が全く出ない人もいます。 こうした人は、健康診断などで血液の異常を指摘され、初期に病気が判明することが少なくありません。 表2 急性リンパ性白血病の主な症状 造血機能が妨げられて現れる症状 全身倦怠感(だるさ)、動悸・息切れ、めまい、易出血性(鼻血など)、紫斑(アザ)、皮下出血、感染症 発熱・盗汗〔多量の寝汗〕・体重減少 白血病細胞が臓器やリンパ節に住みついて現れる症状 リンパ節の腫れ 肝臓や脾臓の腫れ(お腹が張る、痛い) 中枢神経系への浸潤(頭痛、吐き気・嘔吐、顔面のしびれ、視覚異常など) 骨への浸潤(腰痛、関節痛) 歯茎の腫れ、痛み 急性リンパ性白血病の検査と診断 急性リンパ性白血病の診断には、血液検査と骨髄検査を行います。 さまざまな手法で分析を行い、専門機関であれば急性白血病であることはすぐに診断でき、3日〜1週間ほどでどのようなタイプの急性白血病かという診断も確定します。 血液検査では、白血球、赤血球、血小板などの血球数の増減を調べます。 また顕微鏡で細胞を観察し、白血病細胞(がん化したリンパ芽球)の有無を確認します。 骨髄検査では、腰の腸骨という骨に針を刺して骨髄液を採取し、染色体や遺伝子、細胞表面マーカーなどを調べます。 細胞表面抗原マーカー検査では、腫瘍細胞の表面に発現している抗原の有無とタイプを見分けます。 がん化したリンパ球の種類が、T細胞なのかB細胞なのかなども調べます。 血液検査や骨髄検査と並行して、CTやレントゲンによる検査を行います。 これは身体の中に病気がどのくらい広がっているかを確認するための検査です。 急性リンパ性白血病の染色体検査と遺伝子検査 染色体検査では、フィラデルフィア染色体(Ph)の有無を確認します(図2参照)。 フィラデルフィア染色体は、成人の急性リンパ性白血病で最も多い染色体の異常で、4人に1人に生じています。 フィラデルフィア染色体がある場合をPh陽性、ない場合をPh陰性と呼びます。 フィラデルフィア染色体は、BCR-ABL遺伝子の変異によって生じます。 遺伝子検査では、このBCR-ABL遺伝子など特徴的に現れることのある遺伝子の変異の有無を検出します。 Ph陽性の急性リンパ性白血病では、フィラデルフィア染色体の遺伝子から作られる異常なタンパク質(BCR-ABLチロシンキナーゼ)が白血病細胞を増殖させることが知られています。 以前は、Ph陽性の予後は悪いと言われていました。 しかし、BCR-ABLチロシンキナーゼを攻撃する新しい種類の抗がん剤(BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤)が開発されて、治療成績が飛躍的に向上しました。 現在、Ph陽性の治療には、このBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害剤が使われます。 Ph陽性かPh陰性かを知ることは、治療を組み立てるうえで非常に重要です。 図2 フィアデルフィア染色体(Ph)とBCR-ABL遺伝子 急性リンパ性白血病の「完全寛解」を目指した治療 急性リンパ性白血病は進行が非常に早い病気です。 治療をしないと週単位で容体が変化していきます。 できるだけ速やかに治療を開始する必要があり、急性リンパ性白血病が予想されたら、確定診断を待つことなく、治療のベースとなるステロイドの投与が開始されることもあります。 治療の目的は、「完全寛解」の状態にすることです。 「完全寛解」は、骨髄中の白血病細胞の割合が5%以下になった状態です。 ただし、この病気は再発しやすいため、さらに治療を行い、白血球細胞を徹底的に叩いておく必要があります。 そのため治療は、複数の抗がん剤を用いて白血病細胞を一気に減らすことを目標とする「寛解導入療法」、完全寛解が得られた後にさらに白血病細胞を減らすために行う「地固め療法」、さらに、完全寛解を維持するために行う「維持療法」の3つのステップで行います。 「寛解導入療法」は3〜4週間、「地固め療法」が1年程度、「維持療法」は1〜2年くらい行います。 Ph陰性の場合、ステロイドと、、といった抗がん剤を組み合わせた多剤併用療法を行います。 この治療は入院して行います。 Ph陰性場合、約80%の患者さんがこの寛解導入療法で完全寛解に至ります。 地固め療法は、寛解導入療法で用いた複数の抗がん剤に、やなどの別の種類の抗がん剤も加えて治療を行います。 この治療も入院して行います。 寛解導入療法や地固め療法で得られた完全寛解を維持するために行うのが、維持療法です。 主に外来で、経口の抗がん剤を中心にした治療を1〜2年ほど続けます。 維持療法が終了した段階で寛解が維持されていれば、治療は終了します。 その後定期的な観察続けて、長期間の完全寛解を得て、治癒を目指します。 維持療法までを経て完全寛解が得られたとしても、白血病は再発しやすい病気です。 そのため、定期的な診察と検査は続けていく必要があります。 これは、BCR-ABL遺伝子によってつくられるBcr-Ablタンパクをターゲットにし、Bcr-Ablタンパクが活性化するスイッチをオフにする分子標的薬です。 TKIは複数の薬剤が発売されていますが、第一選択薬として使用されるのはです。 Ph陽性の患者さんに対して、イマチニブを併用した多剤併用療法を行った場合、寛解率は90%以上です。 TKIは、、、の第二世代と言われる薬も登場し、治療選択肢が広がっています。 さらに第三世代薬として発売されたは、上記の薬が効かなくなってきた(耐性が生じた)ときに使用される薬です。 Ph陽性の急性リンパ性白血病は、以前は抗がん剤にあまり効果が得られないことが多く、使える薬も少なかったのですが、今は治療の選択肢が増えてきています。 最初の薬で効果が出なくても、次の手が用意されているので、治療をあきらめず続けていただきたいと思います。 再発・難治性の急性リンパ性白血病の治療 治療薬が効かず寛解に至らない、寛解したが再発したなど「再発・難治性」の患者さんに対しては、「救援療法」が行われます。 最初の治療で効果が見られていれば同じ抗がん剤を、効果がなかった場合は別の抗がん剤を試していきます。 これらは、研究段階の治療であり、これまで再発・難治性の急性リンパ性白血病の寛解率は30~50%と低いものでした。 2018年4月、再発・難治性の急性リンパ性白血病の治療薬として、が発売になりました。 がん細胞表面抗原マーカーであるCD22を目印としてがん細胞内に抗がん剤を運ぶことで効果を発揮するもので、CD22陽性の急性リンパ性白血病に使える薬です。 CD22はB細胞性の急性リンパ性白血病のほぼすべてで発現しています。 臨床試験において80%以上の高い寛解率を示し、期待が寄せられています。 さらに、米国や欧州連合(EU)では、再発または難治性のB前駆細胞性の急性リンパ性白血病の治療薬としてが承認されています。 これは、がん細胞表面抗原マーカーのCD19と結合して正常なT細胞の免疫力を高めることにより抗がん作用を発揮する新しいタイプの薬で、日本でも2018年9月25日、再発または難治性のB細胞性急性リンパ性白血病の治療薬として、承認されました。 急性リンパ性白血病の同種造血幹細胞移植 抗がん剤による治療で体内の白血病細胞を減らしたあとに、提供者(ドナー)から採取された造血幹細胞を移植する治療です。 移植された造血幹細胞が骨髄機能を回復し、正常な血液を作るのと同時に、体内に残っている白血病細胞を攻撃して白血病の再発を抑えます。 ただし、同種造血幹細胞移植は、白血球の型が一致する造血幹細胞のドナーが必要です。 兄弟など血縁者に白血球の型が一致する人がいる場合、考慮される治療法です。 患者さんの全身状態や年齢、移植によって起こる可能性のある合併症のリスクなどをよく考えて、検討する必要があります。 小児・AYA世代の急性リンパ性白血病の治療 小児と成人では、使用される薬剤はほぼ同じものが使われますが、使い方が異なります。 小児では、薬の投与間隔を短くして休薬期間を設けない投与法(プロトコル)で強い治療を行います。 副作用も激しく現れますが、小児のほうが副作用に耐える体の力が強いこともあり、高い治療効果が得られ、完全寛解率も8~9割と高いです。 最近、小児のプロトコルを若い成人世代に使うようになってきました。 AYA世代と呼ばれる19〜30歳くらいの患者さんは、成人のプロトコルでは治療成績が芳しくありませんでした。 ところが、小児プロトコルでは治療成績が上がることがわかり、若年者にも使用されるようになってきました。 現在、小児プロトコルを使う年齢を少しずつ上げていく研究が行われています。

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